実学としての古文

私はどちらかと言えば古文不要論者で、学校教育では古文などよりも税金の仕組みとか労働基準法などを優先的に教えるべきだと常々思っている。たとえ教養として古文がいかに重要であるとしても、まず個人として法的経済的に自立することを手助けするのが学校…

洋楽が聴かれない件

新聞で、最近の若者は洋楽を聴かない、という記事を読んだ。ヒットチャートの100位以内にすら洋楽が一曲も入っていないらしい。これをもって日本の音楽産業のガラパゴス化と見る向きもあるようだが、自分はそうは思わない。むしろこれは、かなり緩やかではあ…

教養は二の次でいい

教養は二の次でいい。まずは実学を学ぶことだ。法的・経済的・心理的に自律した個人であってこそ、初めて教養はその価値を発揮する。この社会がどんな仕組みで回っていて、そこにどんな専門的知識でもって貢献していくか、それを考えるべきだ。貴族でもない…

MBTIとかいう性格診断について

最近、周りの友だちとかがこの性格診断をよくやるようになった。世間的にも流行っているらしい。 自分も最初はお試し気分でやってみて、それなりに楽しかったけど、後々になってなんか悲しくなってきた。これで大真面目に性格とか相性とか議論してる人たちが…

単なる傍観者の弱々しい宣言

連日、ガザ地区の紛争に関するニュースを目にするようになった。新聞の一面も総合面もイスラエル、ハマス、ガザといった言葉で埋め尽くされている。テレビでは中国やロシアが仲介に向けてどのような動きを示したかについて特集を組んだりしている。 無関心で…

大衆の崩壊 (4)トートロジー的表現活動

このような大衆になりえなかった集合体、極端かつ無個性な群れの出現は、まさに「大衆の崩壊」によって生じた最も特徴的な現象と言えるだろう。私は彼らを「仮面の軍団」と呼ぶことにしたい。ここで「仮面の軍団」が仮面をつけているという表現は、SNSにおけ…

大衆の崩壊 (3) 「論破」が流行るわけ

このように、大衆に属する人々が共通して保有する常識や共通感覚が消滅し始めている現代において、私たちはいかなるコミュニケーションを他者と行っていけば良いのだろうか。 年を重ねた高齢のサラリーマンが「近頃の若者は〜」というフレーズを口にするのは…

大衆の崩壊 (2) サブスク文化

「大衆の崩壊」という仮説は、中高年以上の人たちにはいまいち納得がいかないかもしれないが、現代の若者文化には顕著に見て取ることができる。 例えば、かつての「アイドル」と言えば日本なら松田聖子や中森明菜、海外ならマイケル・ジャクソンやマドンナの…

大衆の崩壊 (1) ポピュリズム

近年、政治の世界でポピュリズムなる語が頻繁に取り上げられている。ポピュリズムとは一般に、エリート的行政機構には反映されにくい、有権者多数の社会的不満が原動力となって生じる、無軌道で衝動的な政治運動を指す。トランプ元大統領の強烈な個性によっ…

強い現実主義 (3)

ここまで説明してきた通り、自由は社会を進歩させる原動力として重要な意義を持つ。 では自由とは一体何なのか。 いかなる自由が、最も良い形で社会を漸進的に進歩させうるのか。自由主義が政治の舞台に登場して以来、多くの論客がこの問いに魅せられ、議論…

安倍晋三元首相襲撃事件について

先週の金曜日、安倍晋三氏が暗殺された。 衝撃以外の何者でもなかった。事件直後は一体何故こんなことになったのだろうと考えた。 私の中で、犯人像のイメージには二つの仮説があった。一つは、最近よく電車で暴れているタイプのいわゆる「無敵の人」、つま…

強い現実主義 (2)

ここで今一度議論を整理したい。 「強い現実主義」とは、どういう点で「強い」のか、またどういう意味で「現実主義」なのか。 まず私がこの議論で設定した、イデオロギーの「強さ」について説明する。この「強さ」とは、つまるところイデオロギーの、現実の…

強い現実主義 (1)

現在、日本政治の停滞は火を見るより明らかである。人口減少や物価上昇、安全保障などの側面で様々な困難を抱えているにも関わらず、その解決には未だ多くの障害が付き纏い、有効な政策の実施は行われていない。 政治の転換が必要である。 政治の転換の鍵を…

雑録20220111 眠い

元々夜型の人間なので、連休が続くと昼夜が反転する。なので非常に眠い。何故に人間は、昼に働き夜に休むことを一般となすのか、分からない。私のような夜型の人間は数多くいるのではないか。不服である。何はともあれ、また普通の生活に戻らねばならない。…

雑録20220103 二つの適合度

新年が明けた。だからといって特に何かが変わるわけでもないが、こういう時こそ、これから先の自分の計画を反省し再構築するのに、良い機会であると思う。私個人としては、更に勉学に励むとともに、近代人としての社会的な意識を高く保持して、現代の様相に…

雑禄20211219 修正批判学の試み

科学的自然観とはどういうものであるか、長らく私は関心を持ち続けていた。今もまだ持ち続けており、その本質は掴み切れていない。カッシーラーの如く「実体概念から関数概念へ」という標語も科学的自然観のある側面をよく表現しているし、逆にレーニンやマ…

雑録20211211 暇になってふと思ったこと

忙しかった仕事も一段落ついて、急に暇ができた。ここ最近は忙しすぎて、特にこれといった内的な変化や気づきは何も無かった。ただ時間だけが過ぎていった。忙しさはそういう意味で、我々の成長を妨害する要素を持っているかもしれない。忙しいとき、我々は…

雑録20211205 世の中の不幸について

最近あった自分の内的変化で一番新しいものは、世の中の不幸の原因の捉え方についてのそれである。それについて書こう。 一般的に言って、世の中の不幸というものは、大体以下の二種類の原因によって生じていると考えられる。 まず一つ目は「性格が悪い人が…