雑録20220111 眠い

 元々夜型の人間なので、連休が続くと昼夜が反転する。なので非常に眠い。何故に人間は、昼に働き夜に休むことを一般となすのか、分からない。私のような夜型の人間は数多くいるのではないか。不服である。何はともあれ、また普通の生活に戻らねばならない。仕方がないので今日は一睡もしないことにした。それで今とても眠いのである。

 眠い、ということは人間にとって不都合なことばかりだ。思考は不明瞭になるし、一つ一つの行動に意志力が必要となる。しかしそれは決して無価値なことではないと思う。眠いということ、それは眠りにつくことと起き上がることとの中間にあって、朧気で曖昧な世界に包まれた特別な時間である。

 眠いので、どこからどう書けばいいのか判然としないのだが、唐突に書けば、思想というのもまた眠たさに近いものを保持していなければならないと思う。...という考えが朧気ながら浮かんできた。第一、思想というものは他の学術の思考とも世俗の議論とも異なり、本来曖昧で明確な答えの無いものだ。人はその状態を嫌悪する。思想は、眠りにつくということに対する配慮か無ければならない。同時に、明快で精力的な、昼の行動と計画に対する疑念を抱かねばならない。人々が眠りに着こうとする時にこそ、それは耳元にやってきて煩く思考を掻き乱す。思想はそういうものではなかったか。

 大真面目に言って、眠くなる思想こそ価値のある思想なのかもしれない。朝、夢の内容を思い出そうと試みるように、思想は曖昧さと混乱の中から真理を見出だそうと試みる。そこで見出される真理は、他のどのような事実とも異なり、多分に様々な意味解釈を含んでいる。実際、本当に眠くなるまで考え続けた時か、一旦思考を諦めて眠りについた後の目覚めた直後が、良いアイデアは出やすい。価値のある思想は、そういうアイデアの集積で形成され、それに出くわした人々に眠気を感じさせてしまうようなものではないだろうか。