勝手ながら私個人の独断と偏見で、今週ハマった楽曲Top3を順に紹介する。
第3位 "Waltz in A-Flat Major Op. 39 No. 15" Wilhelm Backhaus (Johannes Brahms)
夕暮れ時に赤紫の淡いグラデーションを魅せる不安定な曇り空の如く、この演奏は妖しく、危うい。今にも雷雨が夜と共に訪れる予感がする。しかしメロディ自体はシンプルで麗しい。紅葉の季節も終わりに近づき、物悲しくなってはくるが、バックハウスのこの優しさに満ち溢れた演奏は不滅である。
第2位 "Heart Of Glass" Blondie
共感覚の一種なのか、私の場合は風呂上がりの清涼な気分のときに日本酒とセットでこの曲が聴きたくなる。この曲はまるで高山から流れ滴る天然水のような、若者にしか持ち得ない瑞々しい情感が、こんこんと湧き出しているようだ。パンクだとかニューウェーブだとかはお構いなしに、ただ愉しく自由な気分がそのまま音楽になっている。好感しかない。
第1位 "Baby Love" The Supremes
The Supremesの全盛期の名曲で、あまりにベタな選曲かもしれない。だが、それでよい。ヒット曲に必要な全ての要素がこの曲には詰まっている。歌詞は気持ちの離れた恋人に復縁を求めるラブソングの典型だが、その想いは実るのだろうか。ダイアナ・ロスの歌声は、孤独感や焦燥感に駆られながらも、必死で恋人の幻影を追い求める生命力と、なお下品な懇願に陥らない粋な美しさを見事に表現していると思う。